北照高校からのお知らせ
北照ワイン(旅路)プロジェクト3年生のアンケート結果
北照ワイン(旅路)プロジェクトを終えて(2020年度3年生)
令和2年度の3年生が、先日3年間を通じて行ったワインプロジェクトの活動を終えました。最後の実習となった鶴沼ワイナリー実習が終わった後にアンケートを実施しました。生徒の率直な感想から、このプロジェクトからそれぞれが自ら学び、成長に繋げてくれたことがわかりました。少し長くなりますがぜひご覧下さい。
質問1 北照ワインプロジェクトを終えて、どんな気持ちですか?
▼担当教員 号刀より
9割弱の生徒が「楽しかった」と回答してくれました。
理由については、「滅多に体験できることではない」、「他の学校ではできない貴重な体験」などが多く見られました。
これについて考えたことは、きっと生徒たちは日常的学校生活を送る中で、非日常的活動・体験をすることができていることに満足感や充実感を得ているのではないかと思います。それも、当初はプロジェクト活動に対して後ろ向きでやらされている気持ちがある中、3年間継続的に作業を進めるうちに、ブドウやワインに興味を持つこと、作業にやりがいを見つける、友達と協力し合うことから、プロジェクトに取り組む姿勢が前向きに変化していったことがとても注目すべき点だと思いました。
質問2 質問1の回答の理由を教えてください。
- 滅多に体験できることじゃないから
- 授業よりは楽だし疲れるけどみんなとワイワイできるから楽しい
- できるまでが楽しい
- 他の学校ではできない貴重な体験で楽しかったため
- ブドウがおいしかったから
- 興味がなかったけど、ワインのことを知っていくうちに少し興味を持てたから
- 普段じゃ得られない達成感を味わえるから
- 貴重な体験ができて良かった、ペアなどでより友達との仲が深まったと思う
- 授業するより良いし、ブドウを取る作業が少しだるいけど楽しいから!
- 今までできない体験ができたから
- 普段の生活では味わえないことが味わえたから
- とても疲れたし大変だったけど、他ではなかなかできない体験をさせて頂けたから
- 一生懸命取って疲れたけど、楽しかった
- ブドウを取る作業が楽しかった
- 作業するような仕事が好きだから
- 畑仕事をやったことがなかったため
- つかれた
質問3 北照ワイン(旅路)プロジェクトを終えて、自分自身、何か成長できたことはありますか?
- 集中力の維持
- やり遂げる事?
- 一つのことに時間をかけること
- これからは、一つのことだけでなく、たくさんのことを視野に入れていきたいと思った
- 持続力が成長できたと思う
- 精神的に成長した
- いろいろ
- 相手側への対応の仕方、礼儀 ・農業は大変だということ
- 1年の時はサボり気味だったけれど、それだと他の人が大変な思いをするので、そうならないように周りのことを考えられるようになったと思う
- 目標をちゃんと果たすことによってさらに自信がついたこと
- あきらめず最後までやり遂げる力が、身についたと思う、継続力や集中力も終えて身についたと感じる
- 集中力とやりきること
- 日常生活にありがたみを感じた
- 全ての作物にありがたみを持てるようになった
- 疲れても最後まで仲間と協力してやり遂げる力がついたと思う
▼担当教員 号刀より
多かった回答として「集中力」、「継続力」、「最後までやりきること」でした。
この実習において、私たちが生徒に心掛けて声掛けをしていたことがあります。実習で作業に取り掛かると、生徒たちから「何時までやるの?」とよく聞かれます。この問いに対して私たちは「作業が終わるまでだよ」と答えていました。理由は次のように考えていました。
本校生徒の多くはアルバイトをしています。アルバイトの勤務時間は、シフト(時間)で区切られているので、「仕事を終えるか、終えないか」ではなく、「その時間まで」という考えでアルバイトに従事しています。しかし卒業後、社会に出て働くことは、任された仕事を「終えるか、終えないか」であり、終えなければ残業してでも、時間を作ってでもその仕事に向き合わなければならないことがあると思います。私たちは生徒たちにそこを感じ取ってほしかった。
その結果、時には予定していた作業を終える時刻を大幅に遅らせ、帰る時間が遅れてしまったこともありました。
しかし、「今日はここまでやる」と決めたことを生徒全員でやり抜いてきたことへの積み重ねが、こうした結果につながったのではないかと思います。
質問4 北照ワイン(旅路)プロジェクトを終えて、何か自分自身のタメになったことはありますか?
- 一杯のワインを作るのにたくさんのブドウと時間や労力が必要なこと
- ワインを作ることが凄く大変ということ
- 集中して取り組む
- 収穫作業など普通は経験できないこと
- 社会経験
- 相手への礼儀
- 自分たちはすぐ食べられるかもしれないけど、その食べるまでの過程がすごく大変だということ、だから食べることは簡単かもしれないけれど、その中にはたくさんの人が汗水垂らして頑張って育ててくれたことに感謝するべきだと思った
- 集中する能力が自分にもあったこと
- ブドウがなる仕組み
- そんな簡単に稼げないし、ワインを作ることがこんなにも大変なんだと思ったこと
- ワインになるまでの工程を知ることができ、ワイン造りに使用されるブドウを食べることができた事
質問5 北照ワイン(旅路)プロジェクトを通して、最も印象的だったことを教えてください。
- 一つひとつ手作業ですること
- 畑が広い
- ブドウ狩りをしたこと
- ブドウを育てるのは時間がかかり、人の手で一つひとつ取っていくことがとても大変だとわかったこと
- ブドウがクマに食べられることがあるということ
- 最後の実習で担当の方から認められたこと
- ブドウがおいしかった
- 学校を超えて協力をしてもらいながら、キャリアを積めること、クラウドファンディングをしていること
- ブドウの収穫作業
- クラウドファンディングのことを初めて知ったこと
- 畑の自然
- 最後の収穫作業
- こんなにも大変な思いをしてブドウが作られているということ
- 畑の面積が終わりが見えないほど広いということ
▼担当教員 号刀より
「4」「5」について、体験的活動や人との繋がりについての回答がよく見られました。
現在では本やWebなどで、多くの情報を集めることができる中で、体験的にワインやブドウ栽培を学ぶことで、農家の方々やワイン造りの苦労を深く感じていることがわかりました。
また、家庭や学校内だけではない外部の方々との接点や交流、繋がりからプロジェクトが成立していること、体験できていることに生徒たちはしっかりと有難みを感じていることに、とても意味があったと思います。
質問6 北照ワイン(旅路)プロジェクトを終えて、今後の人生で生かせそうなことはありますか?
- 集中力と達成感のために仕事や勉強をすること
- 何事も最後までやることで達成感が得られること
- 一つのことに取り組むこと
- とにかく大変なことは一人ではできないこと
- 持続力
- 北海道ワイン様に就職することも選択肢の一つだと考えたこと
- 協力してもらった相手への感謝の気持ちの伝え方
- 一生懸命にやること
- まだ分からない
- 集中力と団結力
- 家庭菜園をすることがあれば生かしたい
- 最後まで仲間と協力してやり遂げる力
▼担当教員 号刀より
生徒から「集中して最後まで一生懸命取り組むこと、そこから得られる達成感」といった回答がありました。
日ごろの部活動や勉強から得られる「達成感」だけではなく、作業を通じて得られる「達成感」というのは、将来働くときに得られる「達成感」により近いものではないかと思います。プロジェクトの作業を通じて、将来働く中で得られる「達成感」、そしてそれが「楽しさ」へと繋がっているプロセスを見つけることができる成功体験の一つになっていると嬉しく思います。
質問7 今後の北照ワイン(旅路)プロジェクトの課題を教えてください。
- もっと実習の機会を増やすべき
- 将来、自分たちの取ったワインを飲むこと
- 特になし
- 学べることがたくさんあると思ったので、もっと活動してもいいと思った
- 鶴沼の農場のように大規模に行うのは難しいと思うが、北照の敷地で作ったブドウだけでワインを作れるようにすること
- 今のままで良いと思う
質問8 北照ワイン(旅路)プロジェクトを終えての感想を教えてください。
- つかれた
- 北照のワインプロジェクトに魅力を感じて入学したが、それが星海だと思うくらいためになったし、今後なかなかできない経験だったと改めて思う、楽しかった
- 最初はだるいと思ったけど、めっちゃたのしかったので、また鶴沼に行きたい
- たくさんの苦労も、嫌なこともありましたが、良い経験だったのでとても良かった、改めてこのプロジェクトがあって良かったと思いました
- 体力面では疲れましたが、ブドウを作る人の気持ちもわかり、良い経験ができて良かったです
- 大変だけどやりがいがあり楽しかった
- 他の学校ではやらないことをさせて頂きありがとうございます
- 暑かったりで文句を言い立てたこともありましたが、ワイナリーの方たちにも協力をしていただいてとても貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました
- ブドウを植えたり鶴沼まで実習に行ったりするのは、ほかの学校だと体験できないことだと思うので貴重な体験ができて良かったです
- とても良い経験ができました
- 北照に入学したからといって、ブドウについて知りたいとは初めは正直思わなかったけど、実習を重ねるにつれて知りたいと思えるようになり、今は収穫が楽しみだと思えるようになりました。貴重な体験ができて良かったです、ありがとうございました
- 最初はだるくて嫌だったけど、楽しさが分かってきたらみんなと協力できて、やって良かったと思いました
- 今までできない体験ができてすごく楽しかった。短い期間ではあったけど、自分の人生では大きな時間だった
▼担当教員 号刀より
「働くこと」をテーマにこのプロジェクトを進めてきました。1次産業を中心に授業を行ってきたため、生徒たちは暑い中での慣れない作業等、辛いことや苦労したことが多かったと思います。
担当教員 号刀 悠貴 よりコメント
まずは入学した生徒たちが3年間継続してワインプロジェクトを行うことができたこと、大変有難く思います。保護者の皆様方の本校教育活動へのご理解と、多くの企業からのご協力あってのことでした。改めて感謝したいと思います。ありがとうございました。
最近では、学校・家庭・社会全体で「失敗すること」や「苦労」を知る機会が減っているかもしれない中、敢えて「苦労」をする場や「挫折」をする場を提供することは教育活動的にどうなのかと葛藤することもありました。しかし生徒の前向きな感想に私たちはとても救われました。「ブドウなんて興味ない」、「なんでこんなことを」と言っていた生徒が、人の苦労を知り、集中・継続して作業し、仲間と協力してやり遂げ、達成感を得る。協力してもらっていること、体験させてもらっていることへの感謝も忘れずに、このプロジェクトを終えている生徒に、担当者としてとても嬉しく思いました。
今年度、ついに北照ワインが初リリースされます。今年の3年生が20歳となり、この学校で作ったワインを仲間と共に飲むときに、卒業生たちがどんな気付きや感じることがあるのか、そしてどんなことを学び、社会に貢献していくのか、今からとても楽しみにしております。
担当教員 河邊 隆大 よりコメント
生徒たちが初めて学校の畑で実習を行ったときや1年生の頃は特に、ネガティブな声や行動(取り組み方)がよく見られていました。農場実習に対しても、あまり良い印象を抱いていない生徒が多かったように感じます。
しかしながら、プロジェクト活動を終えた3年生の約9割が、最後には「楽しかった」と感じてくれたことに関してとても嬉しく思いますし、プロジェクトを続けてきて良かったと感じています。生徒の中には、「最初は農業(ブドウ栽培)やワインに対して興味がなかったけれど、学んでいくうちに興味が沸いた。」、「ワインをつくることや農業がこんなにも大変なのだとわかった」と答えている生徒もおり、授業の中で目的としていた6次産業を通して「働くこと」を体験し、学んでもらうことを達成できた生徒たちもいたことがわかりました。これは、キャリア教育の授業の中で、3年間継続して伝えたことや活動してきたことの成果だと感じています。
また、授業での学びは、すぐに理解して貰えずともよいと思っています。生徒たちは、我々から同じ言葉を聞き、同じ体験をしたとしても、感じ方や学びは人それぞれで異なります。たとえ、授業の目的が「働くこと」とはどういうことか理解することであっても、卒業までに理解させることや教え込むことは絶対に良くない、意味がないと思っています。大切なことは、卒業後や社会人になった後であっても、「働くこと」がどういうことか自分で答えを出すことだと考えているからです。そのため、生徒たちに我々の言葉(の意味)が伝わっていなかったり、なにも感じていなかったりしたとしても、いつか、伝えたことが「あ、そういうことか」、「なるほど」と感じてくれることを期待して伝え続けるように意識しています。
アンケートの中には、特に「貴重な体験ができた」や「普段の生活では味わえない」、「他校では経験できないことができた」というコメントが多く、まさに、北照高校でしか得ることのできない経験を北照ワイン(旅路)プロジェクト3年間の活動で積み上げてくれたのではないかと思っています。そして、これらの経験を卒業後にそれぞれの道で存分に活かして欲しいと願っています。